【アニメ】雨と君と
 
漫才や落語は好きなのである。若かった頃に漫才ブームが起こり、その時にはテレビでもたくさんの漫才を見ることができた。落語家が漫才をすることもあり、バラエティに富んだ時代だったと言っていいだろう。最初の漫才ブームの時にB&Bが流行り、それから紳助・竜介とか色々出てきたのだけど、ダウンタウンぐらいからはあまり見なくなった。爆笑問題とか全く面白いと思わなかった。というか本当に彼らはプロなのかと、あんな喋りで笑っている東京の人たちが信じられなかった。
B&Bぐらいからはいわゆるマシンガントークが流行り、最初は勢いがあって面白かったのだがだんだん疲れてきた。相も変わらず魅力があったのは昔からの漫才、夢路いとし 喜味こいし なんかの漫才はスピードがあるわけではなく、それでもそこはかどない魅力があって昔も今も見ていて楽しい。永遠の漫才という気がしている。
私が歳とっているせいもあるのかもしれないけど、そのゆったりした動きや時間、話のテンポがとても魅力的だ。この「雨と君と」というアニメはそういうアニメで、見ていて非常にしっくりくる。落ち着いたという意味では、氷属性男子とクールな同僚女子の冬月さんもそうなのだが、彼女は一見静かで感情がないように見えるが、とても思いやりがあり行動力も半端ない。人のために動くことを厭わない。そういう意味ではこの主人公とは似ているところもあるが、少し離れている。だが私にとってはどちらも非常に心地よい。

一人暮らしの小説家の藤さんはある雨の日の帰り道、捨て犬に出会った。捨て犬と言っていいかどうかはわからない。見た目は明らかにたぬきだ。それも頭に葉っぱを乗せている。連れて帰った犬は筆談で話ができる。どう考えても普通の犬ではない。強いて言えば人間がたぬきに化けているとしか思えない。しかし周りの人はこの生き物を見てみんな犬だという。それが一番不思議。そのもの静かな藤さんと奇妙なたぬき犬の生活を淡々と描いている物語

原作漫画があり、6巻ぐらいは出ているようなのでかなり話は進んでいるのだろう。これからどうなっていくか原作読まない派の私にはわからないが、1つ1つの話がゆったりしていて見ていて落ち着く。建設的な展開があるわけではなく、これを見たからと言って感動的なエンディングを迎えて心の中に何かが残るとは思えない。ただぼーっと見ていたいアニメだ。そんなゆったりした時間を楽しみたい人にはおすすめ。
話を漫才や落語に戻すけど、私が面白くないと思った芸人たちは、ひょっとしたらシチュエーションの問題なのかもしれない。仕事をしていた時、通勤で渋滞した時のために図書館で落語のCDを借りてそれを聞いていた。私が一番好きだしうまい落語家と思っているのは桂文珍。彼の独演会CDを何種類か借りてきてそれを聞いていた。図書館にある種類には限度があるので、聞き終わった後は有名な人のCDも借りて聞いたことがある。文珍さんよりは年上の、まさに落語のレジェンドのような人の名演CDを借りてきて聞いたこともあるのだけど、これが全く面白くない。
録音では最初から最後まで観客は大声で笑いっぱなしだけど、話の内容も話し方も私には全く面白くない。これだけ観客が笑っているんだから面白いはずなのになぜそう感じるかと思ったら、「それは声だけだからななのかな」と感じた。吉本を見に行ったりしたこともあるのだが、たくさんの観客が一体となって楽しんでいる時には割としょうもない話やギャグでも笑ってしまう。この一体感が笑いを作るんだろう。そんな気がしていた。
先ほどのレジェンドのCDだが、実際の寄せでは顔の表情、仕草、視線、合わせてその話と観客が一体になって笑いの渦になるんだろう。その声だけを取り出しても面白いと言えないのはある意味当然かもしれない。上に爆笑問題のことを悪く書いたが、もし会場で私が見ていたら違う印象を持ったのかもしれない。ただ正直、東京の笑いは自分にとって大したレベルに感じない。
いい時代になったなと思うのは、文珍さんの独演会を YouTube で好きなだけ聞くことができること。今では図書館に借りに行くこともしなくなった。本当にいい時代だと思う。
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